One Day奥多摩 「想いの森からのひとりごと」
今日この森で、木霊や森の精霊たちは果たしてどんなサプライズを用意してくれているだろう。そればかりか、せっかくの梅雨の晴れ間、きっと気分しだいでは雨も降らしてしまうだろうし、かと思えば、気まぐれのようにファンタジックな光芒も見せてくれるだろう。
さてさて楽しみな森歩き。心はいつも謙虚に、森のすべてを感受しよう。
久々の 「One Day奥多摩」 は、三頭山の麓からどうぞ。
私たちが手入れをしている森では、かつて群生も見られたが、最近は見る影もなくなってしまったのは寂しい限りだ。
ツリフネソウの仲間は、エンシュウツリフネソウとか、ハガクレツリフネソウといった亜種も知られているが、圧倒的に多いのはツリフネソウだ。そんな中にあって、このキツリフネはやや山地系で、ツリフネソウに比べてそれほど多くない。
花言葉は 「私に触れないで」 という意味深なもの。そして学名も 「noli-gere=触れないで」 ということで同じ。その名の由来は、この植物の熟した果実が、軽く触れただけで音をたててはじけ飛ぶという、ホウセンカの仲間の特徴に由来しているようだ。
そんなこんなで、想いを巡らしながらの植物との対峙はとても楽しい。
この時期の旬な植物のひとつなので、ちょっとした山間の小道を歩けば容易く見つかる。
この森ではヤマオダマキと両方観察できた。ほんのりクリーム色の落ち着いた花姿は、梅雨時の森の中で実にエレガントに映っていた。
ハナムグリの仲間で、山地性の昆虫なので平地や住宅地ではまずお目にかかれない。ノリウツギとかアジサイの仲間などの花粉を食べているので、そのような写真をよく見かけるが、この日は運よく蕾の上でひと休み中。息を止めながらの接写は難儀だったけれど、さすがコガネムシの貴公子だ。噂に違わず美しい。
一般にカメムシの仲間は嫌な臭いを放つため 「くさくさ虫」 とか呼ばれて嫌われ者だが、その形態や色合いから、昆虫マニアの間ではカミキリムシと並んでファンが多い。
本種は特段珍しい種類ではないが、出会いを祝して一枚。
ミソサザイやオオルリ、キビタキもひっきりなしに囀っていてバードウォッチャーにも人気スポットのようだ。残念ながら葉隠れのこの時季では、鳥影を探すのはちょっと難しい。
ご覧のカットはマルバカエデ(ヒトツバカエデ)の結葉。カエデにしては珍しく、切れ込みの無いやや楕円形の一枚葉なのが最大の特徴だ。秋にはレモンイエローの素敵な黄葉を披露してくれる。
ちなみに、造形が面白くって撮ったこのカット、ヤブソテツに似てるような似てないような…。
ほんのり暗い森の林床にいっぱい咲いていた。その花姿はややピークを過ぎたところだと言うが、私にはなんとも愛しい花姿に見える。
ヤワタソウとは八幡草と書くが、その語源については不詳とのこと。別名も、タキショウマ、タキアオイ、オトメグサ、オトメソウというようにバラエティだ。
朝からの陽射しは途切れ、花曇りになった森にシャッター音はいつまでも響いていた。
薄いクリーム色の花弁には気品すら感じるが、画像を見てお察しください。三脚が無いのはなんとも辛いのです。
レンジャーに聞いてみたら、奥多摩ではこの山を含めてもうひとつの山にしか自生していないという。この時季、躊躇なくこの森に足を踏み入れて良かったと思った。ピークを過ぎたとはいえ、その可憐な花姿をしっかり瞼に焼き付けて、また来年逢いに来よう。
おっと! うっかり。最近は油断も隙もない。またまた盗撮に遭ってしまった(笑)
<撮影機材>
Canon EOS 5DMarkⅡ
tamuron SP90mm Macro
by windy1957
| 2014-07-18 14:09
| wild plant