週末はスミレに会いに No5 「群馬県北西部 吾妻地方の森から」
この地でのスミレ行脚は毎年の楽しみではあるものの、今シーズンはスミレの開花が早めとあって多少の不安もあったがそれは完全に杞憂だった。
まずはトップを飾る画像、スミレの女王と称せられるサクラスミレからどうぞ。
なかなかの美人さんの登場に心ときめいてしまう。
スミレ図鑑でお馴染みのいがりまさしさん曰く 「ハイセンスな逸品」 とは、実に的確な表現だとひたすら感心してしまう。
まったくの普通種だけど、時折、ハッとするほどの美しさを放つ。色合いもスタイルも変異に富んだスミレでもある。
眼下にはこんな感じで西上州の里山風景が。
悩ましいハイブリットの登場だ。マキノスミレ?シハイスミレ?そして、掛け合わせの相手は多分フモトスミレ? 様々な憶測は飛び交うが、結局、結論は出ない。
つまり 「悩ましいスミレ」 ということで、ご勘弁を。
このスミレ、こちらのフィールドではかれこれ3年来の付き合いだが、フモトスミレとヒゴスミレとの交雑で、タナオスミレということで落ち着いた。一昨年より昨年、昨年より今年というように、確実に自生の勢いは衰えている。ハイブリットの宿命は、やはり短命であることなのか…
目先にはヒゴスミレやオトメスミレ、そしてこのサクラスミレが綻んでいた。なんて贅沢な時間なんだろうってつくづく思う。
ほんのりと香りを漂わせるニオイタチツボスミレもひと際色鮮やかだ。
このスミレのチャームポイントは、なんと言ってもほんのり薄紫色に染まった距の色合いだろう。真っ白な花弁と相俟って、オトメと呼ばれる所以には思わず納得である。
見上げれば、こんな感じで森はまさに新緑の季節だったんだね。
驚いたことに北斜面の山肌にはスミレサイシンがびっしりと。思わず、「ここは新潟か」 と思ったくらい。まさか関東の山間でスミレサイシンに出会うとは… ね。
アオイスミレはお馴染みでも、エゾアオイスミレとなるとそう簡単には出会えない。ということで名残惜しい一枚を。
細く切れ込んだ独特の葉っぱを見つけると、やっぱり心が躍ってしまう。
アイスブルーの花弁が清々しいイブキスミレも咲き残っていた。このスミレも、特定の地域を除いてはそう簡単にはお目にかかれない。
ということで、やっぱり名残惜しい。
残り花に想いを寄せて、何枚もシャッターを切ってしまった。
林床にポツリポツリと咲く姿も趣があるが、こんな株立ちの姿も、それはそれでちょっとした豪華さもあって美しい。
転げ落ちてしまうような森の斜面に点々と咲いていた。その姿は予想以上に小さかったが、気品のある花弁はやっぱり魅力的。
何年振りだろうか、ずっとこのスミレに会いたかった。
この手のスミレで花柄や葉っぱに繊毛の無いものをオカスミレと呼ぶが、その中間的な種類もあって、アカネなのか、オカなのか、正確な分類となると難しい。現実には曖昧なものや微妙なものもあるので、私は細かい部分は気にしないでほとんどアカネスミレと呼んでしまう。
花弁はニイタチツボスミレだが、葉っぱはタチツボスミレのよう。ひょっとしてマルバタチツボスミレ?と思ったが、ニオイタチツボスミレの個体差なのか、実際のところはよく分からない。
半信半疑で図鑑を捲ってみたら、サクラタチツボスミレという画像が載っていた。この画像を撮った斜面には、桜色をしたタチツボスミレが一面に咲いていた。撮影時間が夕暮れ近かったので、あまり綺麗な色再現にはなっていないので、悪しからず。
スミレ好きにはたまらないフィールドだが、この場所がほとんど知られていないというのがまたいい。
スミレの時季に1週間もこの地に滞在すれば、ハイブリットも含めて、いったい何種類のスミレが確認できることだろう。
そんなことを想像しながら、心地良い疲れとともに夕暮れの関越自動車道を経て帰路についた。
The end
by windy1957
| 2013-05-07 23:57
| wild plant